島根中央信用金庫パンフレット
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ろうか。どちらも預金や融資などを行う金融機関に変わりない。しかし銀行が業務範囲などに制限がないのに対し、信用金庫は取引の対象が地域の中小企業や個人に限られる。地域密着型の非営利金融機関なのだ。《島根中央信用金庫》の福間均理事長(64)は、「株主の利益を求めざるを得ない銀行と違い、地域への貢献を最優先に考えるのが信金。地域で集めたお金を地域のために生かす。地域全体の利益を考えて支援するのが使命なのです」と胸を張る。が合併して現在の体制になった。財務省官僚として長らく中国地方の中小金融機関を担当してきた福間理事長。7年前に経営の舵取りを任されて以降は、信金の強みを前面に出した改革を次々と実施。預金積金は年々上昇し、8年連続過去最高の期末残高となった。本業の収益力を示すコア業務純益、当期純利益はいずれも6期連続の過去最高益を記録。コロナ禍の中、貸出金も過去最高の期末残高となった。「顧客とのリレーションが生んだボリュームだと銀行と信用金庫の違いをご存じだ2006年、信用金庫と信用組合考えています。しかし結果的に返済で顧客を苦しめることになっては意味がありません。お客様が復活できる支援を行っていきたい」。金融機関である限り、利益追求は不可欠であり、そうでなければ地域還元もできない。同庫は、長けた運用力と業務効率化などで高い収益をあげている。その利ざやは、定期預金利息を期間5年で最大年0・31%と大手銀行の30倍以上に設定するなどで地域に還元。一方、教育ローンの金利は、最低1・5%程度の低水準に抑え、子育て世代を支援する。信金の地域支援は金融面だけに留まらない。老朽化が目立っていた大田営業部と大田西支店を統合して2022年春、JR大田駅前に大田営業部を新設予定。2階建て店舗には、誰でも利用できるカフェスペースや小規模の貸しテナント、コワーキングスペースなども備える。「石見銀山などの観光資源を抱えているにも関わらず、駅前が寂しいことが気になっていました」と福間理事長。電車を待つ学生や会社員が勉強や仕事をしたり、食事やお酒を楽しんだりできるほか、地域住民の憩いの場としての活用も狙っている。石見にルーツがあることから、外壁には当地特産の瓦や陶板を使って、地域資源もPRした。「店舗統合するからには、デメリット以上のメリットを生み出さなければ地域のためになりません。駅は地域の顔。にぎわい創出の起爆剤になれば」。SDGs(持続可能な開発目標)の機運が高まる中、今春には目標の最大2億円を融資、金利も優遇する商品も創設。その原資にもなる「SDGs・ESG応縁定期預金」には、すでに販売総額30億円の7割近くが集まってきているという。「SDGsは、信金の理念に近い。改めて形にすることも大事だと考えました」。長引くコロナ禍は、人々の価値観      も大きく変えた。「都会の利便性が失われ、デメリットが目立つ中、職住近接で子育て環境の良い島根の良さや、お金で買えない価値が再認識されてきました。地域のために何かしたいと考える人にとって、信金は非常にやりがいのある職場です」。経済効率でなく、地域貢献を優先アイデアに富む福間理事長。今年は、インナーマスクを顧客に配り、好評を博した。17項目と関連が深い事業者に対し、

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